先天性サイトメガロウイルス感染症の拡大聴力対象スクリーニング。
DOI:10.23736/S2724-5276.21.06287-X
アブストラクト
背景:先天性サイトメガロウイルス感染症(cCMV)の新生児スクリーニングの重要性は、世界の学術文献で広く共有されている。しかし、現在のところ、普遍的な新生児cCMVスクリーニングのプログラムは文献に報告されておらず、聴診を対象としたcCMVスクリーニングの経験はわずかしか発表されていない。イタリアのトスカーナ州では、2008年から、一過性誘発耳音響エミッション(TEOAE)検査で「参照」と判定された新生児に対して、cCMVのスクリーニングが義務付けられており、私たちの大学病院では2012年から、cCMVのリスクがあるいくつかのカテゴリーに拡大されている。
方法:2012年から当院で採用したcCMVスクリーニングのプロトコールの結果を示す。2012年から2017年までに1615例の新生児がcCMVスクリーニングを受けた。25例がcCMV陽性であった(cCMVスクリーニングを受けた新生児の1.54%、新生児聴覚スクリーニングを受けた新生児の0.19%)。
結果:19例(76%)は正常聴力であったが、6例(24%)は程度の差こそあれ聴力障害を認めた。2/25例(8%)は生後数ヵ月で聴力障害が進行し、遅発性難聴や変動性難聴はみられなかった。
結論:今回の結果は、TEOAEで "refer "と判定された新生児にcCMVスクリーニングを行うことで、多くの症例を発見できることを示している。したがって、普遍的な新生児cCMVスクリーニングプログラムを採用するか、よりリスクの高い新生児に拡大したプログラムを採用することが重要であろう。