青年期前期と青年期における喘息のベースライン危険因子における性差。
DOI:10.18176/jiaci.0763
アブストラクト
背景:いくつかの研究で、喘息の有病率に性差があること、また年齢との関連が示されている。本研究の目的は、思春期および成人期における喘息、喘鳴、鼻炎、アレルギー症状の発現を前向きに調査することであった。また、ベースラインの危険因子と成人期早期の喘息発症との関連を性別が修飾するかどうかを明らかにすることも目的とした。
方法:SPAIS(Screening Project Asthma in Schools)研究において、12~15歳の青年が標準化された呼吸器に関する質問票(International Study of Asthma and Allergies in Childhood)に記入し、ベースライン時に呼気一酸化窒素分画(FeNO)と肺機能(FEV1)の測定を受けた。4年後と16年後に同様の質問票による2回の追跡評価を行い、3回の検査で合計491人が参加した。
結果:喘息および喘鳴の有病率は、4年後では変化がなかったが、16年後では増加していた。しかし、その増加は女性においてのみ有意であった。鼻炎とアレルギー症状の有病率は、男女差はないものの、着実に増加していた。性差の交互作用解析では、FeNOが高いこと(P=.01)と喘息の家族歴があること(P=.02)は、男性では喘息の発症リスクを増加させたが、女性では増加させなかった。
結論:主に青年期後期から青年期にかけて呼吸器症状の有病率の増加がみられた;この差は女性では有意であったが男性では有意ではなかった。成人期早期の喘息発症に対する青年期早期のアレルギー性危険因子は、男性では確認されたが女性では確認されなかった。症状の発現におけるこれらの性差および関連する危険因子の認識は、臨床診療において重要である。