先天性甲状腺機能低下症の青少年における大脳皮質厚の形態計測と神経認知的相関。
アブストラクト
背景:新生児スクリーニング(NS)で発見された先天性甲状腺機能低下症(CH)の小児では、早期に適切な治療を行っても、微妙な認知障害が認められることが報告されている。CH患者では脳の皮質厚(CT)異常を呈することがあり、これは神経認知障害と関連している可能性がある。
目的:NSプログラム(ブラジル、パラナ州)により発見された青年CH患者のCTを評価し、異常の可能性を認知レベルおよび神経認知予後の変数と相関させることを目的とした。
方法:青年のCH患者について、医療記録のレビューと心理学的評価を行った。患者41名(女児29名)と対照群である健常青年20名を対象に、脳磁気共鳴画像法を用いて各半球の33の脳領域を分析した。CT値は、FSIQ(Full-scale Intelligence Quotient)スコア、治療開始時の年齢、治療前のサイロキシン値、母親の学業成績と相関していた。
結果:患者と対照のCT値に有意差は認められなかった。しかし、患者では右外側眼窩前頭皮質が、対照群では右後頭回皮質が薄くなる傾向がみられた。CTは、1つの領域においてFSIQスコアおよび治療開始時の年齢と有意に相関し、5つの脳領域において甲状腺機能低下症の重症度と相関した。母親の学歴はCTと相関しなかったが、FSIQと有意に相関した。認知レベルは44.7%の患者で平均の範囲内であった(13.2%に知的欠損があった)。
結論:CHの青年の大脳皮質には、健常対照群と比較して形態学的変化の傾向がみられた。CTと神経認知予後の変数との相関は、大脳皮質の発達に対する甲状腺機能低下症の影響を強調している。社会経済的地位は認知予後に制限因子を及ぼす。
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