麻疹排除に向けた進展-世界、2000-2022年。
DOI:10.15585/mmwr.mm7246a3
アブストラクト
麻疹は感染力が強く、ワクチンで予防可能な病気であり、感染を阻止するためには高い集団免疫が必要である。世界保健機関(WHO)の全6地域は麻疹の撲滅に取り組んでいるが、どの地域も麻疹の撲滅を達成し、維持していない。本報告書では2000年から2022年までの麻疹排除の進捗状況について述べる。2000年から2019年の間に、麻疹含有ワクチン(MCV)の初回接種の推定カバー率は世界で72%から86%に増加し、COVID-19パンデミックの2021年には81%に低下し、2008年以来最低のカバー率となった。2022年には、MCVの初回接種率は83%に上昇した。麻疹患者を報告している144カ国のうち、2022年に麻疹サーベイランス指標の目標である人口10万人当たり2例以上の廃棄を達成したのは半数の72カ国に過ぎなかった。2021年から2022年にかけて、推定麻疹患者数は780万2千人から923万2千3百人へと18%増加し、大規模または破壊的なアウトブレイクを経験した国の数は22から37へと増加した。2021年から2022年にかけての推定麻疹死亡者数は43%増加し、95,000人から136,200人になった。それにもかかわらず、2000年から2022年の間に推定5,700万人の麻疹死亡がワクチン接種によって回避された。2022年、麻疹ワクチン接種率と世界サーベイランスは、COVID-19パンデミックの挫折からいくらか回復を見せたが、低所得国では接種率が低下し、世界全体では、長年にわたる予防接種率が不十分であったため、何百万人もの子どもたちが無防備のままであった。COVID-19のパンデミック時に経験した予防接種率の後退を早急に回復させるには、すべての小児にMCVを2回接種する努力を再開し、サーベイランスを強化することで達成することができる。