インドとマラウイの乳児において、細菌の分類学的および機能的多様性の増加がロタウイルスワクチンの免疫原性の低下と関連している。
DOI:10.1186/s12866-023-03098-z
アブストラクト
重症ロタウイルス関連胃腸炎に対する経口ロタウイルスワクチン(ORV)の免疫原性と有効性は、疾病負担が最も大きい低・中所得国(LMICs)では低下している。ORV反応低下の危険因子を明らかにすることは、ワクチンの有効性を高める戦略の特定に役立つ可能性がある。本研究では、インドとマラウイにおけるORV免疫原性の前向き研究において、生後6週(ORV初回投与と同時)に採取された便サンプルの高解像度分類学的解析をメタゲノムシークエンシングを用いて行った。次に、これらのコホートにおける発育中のマイクロバイオームの機能的能力を解析した。マイクロバイオームの構成は国によって大きく異なっていたが、機能的能力は分類学的構成よりも類似していた。われわれの結果は、ORV非Seroconvertersの発育期のマイクロバイオームの分類学的組成は、Seroconvertersと比較してより多様であるという、以前に報告された知見を裏付けるものであり、さらに機能的能力においても同様のパターンを示した。分類学的あるいは機能的特徴量の多寡はORV反応性の予測因子としては不十分であるが、これらのマイクロバイオームデータにおける関連方向の偏りを利用することで、LMICの乳児コホート間でORV反応性の一貫したマーカーを同定できることを示す。また、LMICからの参照遺伝子の発現が全体的に低いため、本研究での機能アノテーションが制限されていることも明らかにした(パスウェイおよび酵素委員会レベルでのアノテーションはそれぞれ7%および13%)。全体として、インドとマラウイでは、生後早期のマイクロバイオームの多様性が高いことが、ORV反応障害のマーカーとして機能する可能性がある一方、機能的能力の全体的な視点は、マイクロバイオームの「暗黒物質」に隠されている可能性がある。