難治性炎症性腸疾患の青少年に対するウパダシチニブの単施設での使用経験。
DOI:10.1093/ibd/izad300
アブストラクト
背景:ウパダシチニブ(UPA)は新規の選択的JAK阻害薬であり、成人の潰瘍性大腸炎(UC)を適応症として承認され、クローン病(CD)については第3相試験で良好なデータが得られている。小児に対する承認が遅れているため、小児の適応外使用は一般的である。小児IBDにおける安全性と有効性を理解するためには、UPAに関する実臨床データが必要である。
方法:本試験は、UPAを投与された炎症性腸疾患IBDの青年(12~17歳)を対象とした単一施設の後方視的ケースシリーズ研究である。主要アウトカムは、ステロイド非投与後の臨床的寛解(SF-CR)であり、Pediatric UC Activity Index(PUCAI)またはPediatric CD Activity Index(PCDAI)≦10と定義した。副次的アウトカムは、導入後の臨床効果(PUCAI/PCDAIの12.5以上の低下)、導入後のCRP正常化、6ヵ月後のSF-CR、腸管超音波の反応と寛解である。有害事象は最終フォローアップまで記録した。
結果:20例の患者(CD 9例、UC 10例、IBD-U 1例、55%女性、年齢中央値15歳、90%以上が2種類の生物学的製剤を使用)に12週間以上のUPA投与が行われた(中央値51[43-63]週間)。ウパダシチニブは55%に単剤で使用され、ウステキヌマブおよびベドリズマブとの併用はそれぞれ35%および10%に使用された。12週目のSF-CRは75%(15/20例)と80%(16/20例)で達成され、CRPは正常化した。6ヵ月後のSF-CR達成率は約3/4(14/19)であった。有害事象は2例(10%)に発現した:サイトメガロウイルス性大腸炎は入院を要し、高脂血症は治療を要しなかった。超音波モニタリングを行った75%では、奏効が77%、寛解が60%であった。
結論:小児登録試験を待っているところであるが、UPAは高度難治性IBDの青少年においてSF-CRの誘発と維持に有効であり、安全性プロファイルも良好であることが示唆された。
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