マラリキシバット治療を受けたアラジール症候群患者の無イベント生存期間とGALAによる実臨床コホートとの比較。
DOI:10.1097/HEP.0000000000000727
アブストラクト
背景と目的:アラジール症候群(ALGS)は、慢性の胆汁うっ滞とそれに伴うそう痒症および肝外異常を特徴とする。回腸型胆汁酸トランスポーター阻害薬であるマラリキシバットは、ALGSにおける胆汁うっ滞性そう痒症に対する薬物療法として承認されている。まれな疾患を有する小児では、長期のプラセボ対照試験は実施不可能であり、また倫理的でもないため、マラリキシバット試験から得られた6年間の転帰を、Global AL agille A lliance(GALA)試験から得られた整合化された自然史コホートと比較するという新しいアプローチがとられた。
アプローチと結果:マラリキシバット試験には、最長6年間の治療を受けた84例のALGS患者が含まれる。GALAには1438人の参加者のレトロスペクティブデータが含まれる。GALAを主要なmaralixibatの適格基準に合わせてフィルタリングし、469人の参加者を得た。血清胆汁酸は臨床でルーチンに行われていないため、GALAのフィルタリング基準に含めることはできなかった。インデックスタイムは、マラリキシバットの投与開始と2つのコホート間の疾患重症度を一致させる目的で、最尤推定により決定された。無イベント生存期間は、門脈圧亢進症の症状(静脈瘤出血、治療を要する腹水)、外科的胆道迂回術、肝移植、死亡の最初のイベントまでの期間と定義し、Cox比例ハザード法により解析した。感度分析と共変量の調整を行った。年齢、総ビリルビン、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼは群間でバランスがとれており、統計学的な差はなかった。マラリキシバットのコホートにおける無イベント生存率はGALAのコホートよりも有意に良好であった(HR, 0.305; 95% CI, 0.189-0.491; p <0.0001)。複数の感度分析およびサブグループ分析(血清胆汁酸の有無を含む)でも同様の結果が示された。
結論:本研究は、プラセボ比較が不可能な長期介入研究におけるアウトカムを評価するために、ロバストな統計的手法を新規に適用したことを示すものであり、希少疾患に広く応用できる。現実の自然史データとの比較により、マラリキシバットはALGS患者の無イベント生存期間を改善することが示唆された。