乳児と母親の腸内細菌叢と小児のアレルギー疾患発症との関連:系統的レビュー。
DOI:10.1080/02770903.2024.2332921
アブストラクト
目的:腸内細菌叢の変化は、小児の腸疾患と非腸疾患の両方を引き起こすと考えられている。乳児は妊娠中および授乳中に母親の微生物叢を受け継ぐため、最近の研究では、母親の微生物叢の変化が免疫疾患も引き起こす可能性が示唆されている。この系統的レビューは、小児期における子どもと母親の腸内細菌叢とアレルギー発症との関連を評価するために作成された。
データ情報源:本システマティックレビューでは、PubMed、Scopus、ISI/WOSを含む国際的なデータベースを2023年1月まで検索し、関連研究を同定した。
研究選択:乳幼児または母親の便マイクロバイオームと小児のアレルギー発症との関連を解析した観察研究を本研究の対象とした。対象研究のデータ抽出と質評価は、2名の研究者が独立して行った。
結果:評価対象とした1694報の論文のうち、21報は便サンプルの分析による新生児の腸内細菌叢の調査、6報は母親の腸内細菌叢の調査であった。本研究には合計5319人の参加者が含まれた。喘息に次いで湿疹と皮膚炎が小児に最も多いアレルギー疾患であった。都市化により細菌叢の多様性が欠如し、ビフィドバクテリウムとラクノスピラのレベルが低くなり、アレルギーのリスクが高くなった。一方、ビフィズス菌とラクノスピラ菌のレベルが高いほど、アレルギーリスクは低かった。
結論:この系統的レビューは、腸内細菌叢がアレルギー発症と関連している可能性を示している。明確な答えを出すためには、さらなる研究が必要である。