チリの自治体におけるリスク年齢に基づく集団予防接種プログラム後のCOVID-19関連入院の減少におけるワクチンの有効性:観察研究デザインの比較。
DOI:10.1016/j.vaccine.2024.05.002
アブストラクト
背景:インフルエンザワクチンやロタウイルスワクチンの無作為接種過程における有効性(VE)を評価するためには、試験陰性(TN)対照と症候陰性(SN)対照を含む症例対照研究が信頼できる。しかし、TN対照とSN対照を用いたSARS-CoV-2に対する実際の集団ワクチン接種キャンペーンにおける影響に関する実証的証拠はない。
目的:SARS-CoV-2ワクチン接種のCOVID-19関連入院率に対する有効性を、同一集団においてコホートデザイン、TNデザイン、SNデザインで比較する。
方法:2021年3月1日から2021年8月31日の間に、チリのある自治体(Rancagua)における4つのデータ源(公的プライマリヘルスケアシステム、入院登録、疫学サーベイランスシステム、国家予防接種プログラム)からのデータをリンクさせた非マッチ集団ベースのコホート、TN、SN症例対照デザインを実施した。アウトカムはCOVID-19に関連した入院とした。非曝露群では十分なサンプルサイズを確保し、コホート計画では追跡調査を完了させ、症例対照計画ではワクチン接種から入院までの十分な期間を確保するため、VEは各個人について8週間の期間を比較して推定した。
結果:2021年3月1日にチリのランカグア市の一次医療システムに登録された191,505人のうち、116,453人がコホート研究の組み入れ基準を満たした。同じ場所で研究期間中に登録された9,471件の入院のうち、526件がCOVID-19症例、108件がTN対照、1,628件がSN対照であった。いずれのワクチン製剤についても、接種済みと非接種者を比較した年齢・性別調整後のワクチン有効性は、コホート研究では67.2(55.7-76.3)であったのに対し、TN対照では67.8(44.1-81.4)、SN対照では77.9(70.2-83.8)であった。
結論:年齢とリスク群に基づくCOVID-19ワクチン接種プログラムのVEは、3つの観察研究デザインで異なる傾向があった。SN症例対照デザインは、実環境におけるCOVID-19のVEを評価するための効率的な選択肢であると考えられる。