小児炎症性腸疾患における抗腫瘍壊死因子併用療法からの免疫調節薬中止の臨床的影響。
DOI:10.1002/jpn3.12299
アブストラクト
目的:抗腫瘍壊死因子(抗TNF)と免疫調節薬(IMM)の併用療法は、炎症性腸疾患(IBD)患者の予後を改善することが示されている。本研究では、小児のIBD患者において、IMMの併用療法から抗TNF単剤療法への離脱の影響を評価する。
方法:本単一施設レトロスペクティブコホート研究は、2014年から2019年の間に併用療法を開始し、IMMを中止したIBD小児を対象とした。IMM中止が臨床検査値および疾患活動性に影響を及ぼすかどうかを評価した。ランダム切片を用いた線形混合効果モデルを用いて群間差を比較した。その後の治療の増量を必要とした患者と必要としなかった患者の比較には、カイ二乗検定とクラスカル・ワリス検定を用いた。
結果:1502人の患者がIMMを中止したが、疾患活動性に有意な影響はなかった。しかし、患者の18%がIMM中止後に治療を増量したが、その主な理由は抗TNF値が低かったためであった。IMM中止前の抗TNF抗体の低値、赤血球沈降速度(ESR)およびCRPの高値は、その後の治療の増量と関連していた。全体として、抗TNF薬のレベルには統計的に有意な影響は認められなかった。IMMを中止したインフリキシマブ(IFX)とメトトレキサート(MTX)投与中のクローン病(CD)患者では、ESRとCRPの平均値が上昇した(p<0.05)。
結論:抗TNF併用療法からIMMを中止しても、抗TNF値が高く、血清炎症マーカーが正常であれば安全であると考えられる。臨床医は、特にMTXを中止したIFXを受けているCD患者において、IMM中止後の抗TNFレベルと炎症マーカーの評価を考慮すべきである。