2歳未満児の骨折発生率:系統的レビュー。
DOI:10.1186/s12891-024-07633-5
アブストラクト
背景:2歳未満の小児の骨折に関する疫学的研究は、偶発的外傷と虐待的外傷の違いを理解する上で非常に重要である。
目的:この系統的レビューでは、出生時の外傷を除く2歳未満の小児の骨折の発生率について報告した研究を評価することを目的とした。副次的アウトカム評価項目は、骨折部位、受傷機序、骨折の特徴であった。
方法:前向きコホート研究、後向きコホート研究、横断コホート研究を含む系統的文献レビュー(1946年~2024年2月7日)を行った。0~2歳児の実測値が抽出可能であれば、他の年齢層の小児を含む研究も対象とした。また、乳幼児に限定した研究も対象とした。骨折の年間発生率を抽出し、主な結果として報告した。批判的評価は、Appraisal tool for Cross-Sectional Studiesを用いて行った。
結果:適格基準を満たした中等度~良質の研究は12件で、そのうち7件は医療記録からのデータに基づくもの、5件は登録研究であった。研究は骨折の様々な側面について調査しており、包括的な統合は困難であった。全体の年間骨折発生率は0~2歳の小児1,000人あたり5.3~9.5人であり、最も多い部位は橈骨/尺骨(25.2~40.0%)、次いで脛骨/腓骨(17.3~27.6%)、鎖骨(14.6~14.8%)であった(合計407人の患者を対象とした3つの研究に基づく部位)。乳幼児では、1,000人当たり0.7~4.6人(3件の研究に基づく)の発生率が報告されており、鎖骨の病変は22.2%、上腕骨遠位部の病変は22.2%であった(1件の研究に基づく)。骨幹部病変の報告は1例のみであった(生後11ヵ月の乳児の上腕骨近位部)。骨折機序は4つの研究で詳述されており、椅子、ベッド、テーブル、自分の高さからの転倒、または屋内活動後の転倒が50~60%を占めていた。
結論:2歳未満児の骨折発生率に関する質の高いデータは少ない。虐待による外傷との違いをよりよく理解するためには、より大規模で前向きかつ偏りのない研究が、通常の傷害パターンを決定する上で有用であろう。