ニュージーランドのマオリ族における炎症性腸疾患の表現型。
DOI:10.1111/imj.16416
アブストラクト
背景:マオリ族の炎症性腸疾患(IBD)罹患率は、ニュージーランドの非マオリ族に比べて歴史的に低い。最近の報告では、マオリ人のIBD罹患率が増加している。
目的:マオリ族におけるIBDの表現型を明らかにするために研究を行った。
方法:ニュージーランドの4つの地域からマオリ族のIBD患者をレトロスペクティブに抽出した。電子カルテをレビューし、患者のデモグラフィック、表現型、臨床的特徴の詳細を収集した。
結果:165名のマオリ族のIBD患者が同定され、そのうち74名(45.4%)がクローン病(CD)、86名(53.5%)が潰瘍性大腸炎(UC)、5名(3.0%)がIBD-unclassified(IBD-U)であった。男性(38.2%)に比べ女性(61.8%)が多かった。これは、UCでは性差がなかった(女性52.2%、男性48.8%)のに対し、CDでは女性の比率が男性より高かったためである(73.9%対26.1%)。回腸性CDが最も多く(36.2%)、大多数は非狭窄性疾患(62.3%)であり、肛門周囲病変は認められなかった(78.2%)。年齢のピークは2峰性で、25〜29歳が第1ピーク、45〜49歳が第2ピークであった。マオリ族のIBD罹患率は20年間で5倍に増加した。
結論:マオリ族におけるIBDに関する最大規模の研究である。マオリ族におけるIBDの表現型は、これまでの地域的なIBDの報告と類似していたが、マオリ族では女性のCD患者の割合が有意に高く、45-49歳という2番目の年齢のピークが早かった。マオリ族におけるIBD罹患率の増加が再び示された。