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小児甲状腺乳頭癌における低浸潤性体細胞癌遺伝子とリンパ節転移:予防的中心頸部郭清の意義。

DOI:10.1530/ETJ-23-0265

アブストラクト

目的:米国甲状腺学会(ATA)の小児ガイドラインは、腫瘍の局在性、腫瘍の大きさ、および外科医の経験に基づいて、甲状腺乳頭癌(PTC)患者に対する選択的、予防的中心頸部郭清(pCND)を推奨している。術前の体細胞がん遺伝子検査が拡大し、pCNDの有益性をめぐって論争が続いていることから、がん原性変化のデータはpCNDを層別化する機会を提供する可能性がある。本研究では、小児PTC患者におけるリンパ節転移を低浸潤性腫瘍と高浸潤性腫瘍とで比較し、pCNDの層別化における術前の癌原性変化の有用性を検討した。

方法:2003年7月から2022年7月の間に、PTCに対する甲状腺切除術後に体細胞がん遺伝子検査を受けた小児患者のレトロスペクティブコホート研究である。

結果:術後に体細胞腫瘍遺伝子のデータを得た適格なPTC患者192人のうち、19人の腫瘍が低浸潤性疾患に関連する体細胞変化を有しており(19/192、10%)、128人の腫瘍がBRAFV600E変化(45/192、23%)またはがん原性融合体(83/192、43%)を有していた。低浸潤性変化を有する腫瘍は、高浸潤性変化を有する腫瘍(97/124、78%;P < 0.001)と比較して、術前細胞診で悪性腫瘍を呈する可能性が低かった(2/18、11%)。低浸潤性変化の患者12例(12/19、63%)では中心頸部からLNが郭清されていたのに対し、高浸潤性変化の患者127例(127/128、99%)では郭清されていなかった。LN転移が確認されたのは、低浸潤性変化の患者2人(2/19、11%)であったのに対し、高浸潤性変化の患者107人(107/128、84%;P < 0.001)であった。

結論:低浸潤性体細胞がん遺伝子変異を有する小児患者は、中心頸部LNへの転移リスクが低い。われわれの所見は、体細胞がん遺伝子の変化を術前に知ることで、pCNDが有益でない可能性のある小児患者を層別化する客観的データが得られることを示唆している。

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