抗生物質、受動喫煙、社会経済的地位の高さ、甘味食品は小児の炎症性腸疾患のリスクに寄与する:メタアナリシスによる系統的レビュー。
DOI:10.1002/jpn3.12303
アブストラクト
目的:小児炎症性腸疾患(PIBD)の発症と罹患率の上昇には、遺伝因子と環境因子が影響している。目的は、PIBDにおける食事と環境因子のエビデンスをメタ解析することである。
方法:リスク評価指標が同等で、2つ以上のPIBD研究で報告されている食事と環境因子をメタ解析に含めるために系統的検索を行った。PIBDのリスク推定値が2つ以上のものは、プールされたリスク推定値を提供するために組み合わされた。
結果:4763件の研究のうち36件が組み入れられた。PIBDは、4コース以上の抗生物質投与(処方/購入/コースを含む)、受動喫煙、母乳育児でないこと、甘い飲み物の摂取、高所得国に住む非白人小児であること、感染歴と高いリスクが関連していた(オッズ比[OR]範囲:2~3.8)。小児クローン病(CD)は、幼児期の抗生物質への曝露、抗生物質4コース以上、社会経済的地位(SES)の高さ、母親の喫煙、アトピー性疾患の既往、および感染歴と高いリスクと関連していた(OR範囲:1.6-4.4)。感染歴はまた、小児潰瘍性大腸炎(UC)の高リスクと関連していた(OR:3.73)。兄弟姉妹の数が多い(2人以上)ことは、小児CD(OR:0.6)および小児UC(OR:0.7)の低リスクと関連していた。ペットとの接触は小児UCの低リスクと関連していた(OR:0.5)。
結論:PIBDリスクに関連するいくつかの因子が同定され、疾患スクリーニングツールの開発に利用できる可能性がある。PIBDのリスク軽減のためには、今後の研究が必要である。