小児の炎症性腸疾患患者における転帰と人種および地域の剥奪指数との関係。
DOI:10.1002/jpn3.12329
アブストラクト
目的:健康の社会的決定要因(SDOH)とは、健康上の転帰に影響を及ぼす非医学的要因のことである。社会経済的リスク因子と共存する慢性疾患の子どもは、好ましくない健康転帰をたどる割合が高い。本研究では、小児の炎症性腸疾患(IBD)患者において、SDOHの代用指標である地域剥奪指数(ADI)と転帰との関連を評価することを目的とした。
方法:0~21歳の小児IBD患者134例を対象にレトロスペクティブ・チャートレビューを行った。説明変数は患者のADIと人口統計学的データとした。転帰は診断時から1年間の追跡期間にわたって評価された。主要アウトカムは、予約の欠席と完了の比率であり、副次的アウトカムは、IBD関連の救急外来(ED)受診数とIBD関連の入院数であった。
結果:人種/民族はADIと有意に関連していた(p<0.001)。多変量回帰モデルにおいて、予約の欠席と完了の比率に関連する変数はなかった。特に、ADIは予約の欠席と完了の比率と有意な関連を示さなかった。ポアソン回帰では、黒人(非ヒスパニック)およびヒスパニックの人種/民族、メディケイド保険、女性の性別、および低年齢は、IBD関連のED受診の多さと有意に関連していたが、ADIは関連していなかった。同様のモデルにおいて、黒人(非ヒスパニック)人種、メディケイド保険の有無、および低年齢は、より多くのIBD関連入院と有意に関連したが、ADIは関連しなかった。
結論:本コホートにおいて、ADIは、予約の未完了と完了の比率、IBD関連ED受診、IBD関連入院とは有意な関連を示さなかったが、人種/民族、診断時年齢、保険、性別はこれらの転帰と関連していた。