酵素補充療法を受けているゴーシェ患者におけるグルコスフィンゴシン(lyso-Gb1)の長期および短期の動態。
DOI:10.3390/biom14070842
アブストラクト
背景ゴーシェ病(GD)は、β-グルコセレブロシダーゼ欠損とグルコシルセラミド蓄積をもたらすGBA1遺伝子の変異によって引き起こされるライソゾーム貯蔵障害である。方法酵素補充療法(ERT)を受けているGD患者の大規模コホートにおいて、リゾグルコシルセラミド(lyso-Gb1)の短期および長期の動態を解析した。結果8年間にわたるlyso-Gb1の解析の結果、バイオマーカーの年ごとの変動は統計的に有意ではなく、患者の個人差が比較的大きいことが明らかになった。GD1型(GD1)患者はGD3型(GD3)患者に比べて高い変動性を示した(変動係数:それぞれ34%と23%、p値=0.0003)。また、酵素補充療法(ERT)に対するバイオマーカーの短期反応についても検討し、投与直前と投与30分後にlyso-Gb1を測定した。GD患者20人(GD1 16人、GD3 4人)を検査したところ、リゾGb1濃度の急速かつ有意な低下が観察された(平均17%の低下;p値 < 0.0001)。この即時的な反応は、GD患者における基質蓄積を減少させるERTの有効性を再確認するものであるが、その反面、輸液間のバイオマーカーの不安定性を示唆している。結論これらの所見は、lyso-Gb1が治療効果をモニタリングするための信頼できるバイオマーカーとしての可能性を強調するものである。しかし、個人差やドライブラッドスポット(DBS)検査の限界から、臨床応用にはさらなる改良が必要である。本研究は、個別化医療におけるバイオマーカーの役割の発展を強調し、GD患者管理における貴重な洞察に貢献するものである。
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