小児炎症性腸疾患における回腸迂回術の役割。
DOI:10.1002/jpn3.12331
アブストラクト
小児の炎症性腸疾患(IBD)では、内科的治療抵抗性の疾患や重症の合併症に対して外科的治療がしばしば適応となる。具体的には、回腸迂回術による外科的介入により、糞便の流れを疾患のある遠位腸管から回腸吻合部を介して遠ざけることができる。回腸迂回術は、内科的治療抵抗性の大腸炎、重度の肛門周囲疾患、不可逆的な腸管損傷を有する患者に用いられる。潰瘍性大腸炎患者では、リスクの高い吻合部を保護するため、主に回腸ポーチ肛門吻合を伴う修復的肛門切除術の際に行われる。クローン病では、回腸迂回術を行うことで、病気の遠位腸が炎症性便にさらされるのを減らすことができる。周術期の計画では、消化器専門医が外科医、栄養士、創傷オストミー管理看護師、心理士、ソーシャルワーカーなどの集学的チームと早期に連携することが極めて重要である。患者は栄養不良について評価されるべきであり、経腸栄養または非経口栄養により栄養を最適化すべきである。コルチコステロイドは術後合併症のリスク増加と関連しているため、術前に大幅に減量するか、完全に中止すべきである。回腸迂回術は吻合に関連する合併症を減少させる可能性があるが、術後の重篤な合併症としては、迂回結腸炎や高出力瘻などがある。本総説は、小児IBDの治療における回腸迂回術の役割について、小児消化器専門医に概説し、医療上の意思決定や患者・家族との話し合いの参考とすることを目的とする。