CHIPS(Chinese Haemophilia Individualized escalating low dose Prophylaxis)で4年間の予防投与を受けた重症血友病A男児の長期転帰解析。
DOI:10.1016/j.thromres.2024.109110
アブストラクト
背景:2016年に開始されたChinese Haemophilia Individualized Prophylaxis Study(CHIPS)では、1年間の試験で血症が有意に減少したことが報告された。しかし、その長期的な有効性については検証が必要である。本論文は、CHIPSを1年間実施し、さらに3年間の追跡を完了した重症血友病A(SHA)患者18例の臨床転帰をまとめたものである。
方法:臨床追跡はCHIPSプロトコールに基づき行った(2018年7月から2021年7月まで)。エスカレーションは指標関節の出血に基づいて行い、指標関節(足首、膝、肘の両側)の連続超音波(グレイスケールおよびカラードプラ)検査をスコアリングシステムにより6ヵ月ごとに行った。
結果:合計18人のSHA患者が3年間の研究を完了した。15人の患者は中国でのCOVID-19パンデミック時の金融危機により脱落した。年齢中央値は5.4歳(範囲4.3-6.9歳)であった。関節出血は有意に減少し、平均年間出血率は18.9±2.8から1.7±0.4(p<0.001)、年間関節出血率は3.1±0.7から1.2±0.3(p<0.028)に減少した。8関節中5関節で出血が消失した。16の用量がエスカレーションされた。試験終了時、SHA男児の治療成績はステップ4で5例(20~25 lU/kg、隔日)、ステップ3で10例(15~20 IU/kg、3×/週)、ステップ2で2例(10~15 lU/kg、3×/週)、ステップ1で1例(10~15 lU/kg、2×/週)と異質であった。平均FVIII消費量は2964IU/kg/年であり、節約できた。QOLは改善し、Canadian Haemophilia Outcomes-Kids Life Assessment Tool(CHO-KLAT、中国版2.0)のスコアは68.8~78.8であった。超音波スコアに変化はなかった。
結論:CHIPSを1年間実施した18人のSHA男児の追跡データから、CHIPSの長期的な有効性は、血友病の減少、関節の健康維持、男児のQOLの改善、および費用節約に有効であることが確認された。
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