固形臓器移植成功後の移植後炎症性腸疾患:まだ脱したわけではない。
DOI:10.1002/jpn3.12347
アブストラクト
目的:小児の固形臓器移植(SOT)後に消化器症状が現れることがあり、小児の一部は移植後に慢性炎症性腸疾患(IBD)を発症する。本研究の目的は、SOT後にIBDを発症した患者の特徴、治療法、および臨床経過を明らかにすることである。
方法:2009年1月から2019年4月までに当センターで心臓、腎臓、肝臓、または腸の移植を受けた0~18歳の患者の電子カルテをレトロスペクティブレビューした。IBDを発症した患者を最終解析に含めた。人口統計、症状、臨床情報を記録した。各患者について、内視鏡的および組織学的データ、初回および現在の投薬が記録された。IBD診断時の表現型、IBDに対する外科的介入、最終追跡調査(中央値)時の臨床的軌跡などのアウトカムが対象となった。
結果:心臓移植(n=3、37.5%)、腎臓移植(n=2、25.0%)、肝臓移植(n=1、12.5%)、腸移植(n=1、12.5%)、多臓器移植(心臓と腎臓、n=1、12.5%)後にIBDを発症した8例が含まれた。IBDと診断される前に、ほとんどの患者は下痢(n=5、62.5%)と腹痛(n=5、62.5%)を発症していた。内視鏡所見の異常は結腸で最も多かった。患者は5-アミノサリチル酸塩、ステロイド、アザチオプリンなどの薬物療法を開始した。2例の患者は生物学的製剤による治療を必要とし、最終フォローアップ時にはvedolizumabを投与されていた。免疫抑制の調整が必要な患者もいた。
結論:移植後IBDはSOT後に発症する可能性がある。患者は炎症性、非収縮性疾患を示すが、1人の患者は瘻孔形成性疾患を経験した。合併症はまれで、多くの患者は5-アミノサリチル酸塩のみで寛解に入るが、一部の患者は一次免疫抑制の調整が必要である。