小児がん生存者におけるヒトパピローマウイルス関連後続悪性新生物。
DOI:10.1016/j.canep.2024.102646
アブストラクト
目的:小児がん生存者において、ヒトパピローマウイルスに関連した悪性新生物(HPV-SMN)のリスクが高いことを示唆する新たな証拠が得られている。しかし、HPV-SMNに関する包括的な集団ベースのリスク推定は不足している。
方法:1975年から2018年までのSurveillance, Epidemiology, and End Resultsプログラムから得られた縦断的データを利用し、少なくとも5年間生存した小児がん患者からなるコホートを構築した。標準化罹患率比(SIR)とそれに対応する95%信頼区間(95%CI)を用いて、HPV-SMNの相対リスクを評価した。HPV-SMNに関連するリスク因子を同定するために競合リスク回帰モデルを実施した。
結果:合計35,397人の小児がん生存者を対象とした。そのうち42人がその後HPV-SMNを発症した(原発がんからの期間中央値25年)。HPV-SMNの解剖学的部位は、子宮頸部(N=16)、口腔咽頭(N=15)、肛門(N=5)、外陰部(N=5)、陰茎(N=1)であった。HPV-SMNの40年間の累積罹患率は0.51%と推定された。生存者全員がHPV-SMNを発症するリスクは、一般集団の同年齢の人に比べて10倍高かった(SIR 10.1、95 %CI 7.3-13.6)。競合リスク回帰モデルは、診断時の年齢と原発性悪性腫瘍のタイプがHPV-SMNの発症に影響を及ぼす可能性があることを示唆した。さらに、多変量Cox回帰分析により、HPV-SMNの存在は生存者の死亡リスクを有意に増加させることが確認された(ハザード比2.63、95 %CI 1.68-4.14)。
結論:小児がん生存者はHPV-SMNの発症リスクが有意に高く、生存成績も不良である。HPVワクチン接種を奨励し、しっかりとしたサーベイランスプロトコールを実施することで、小児がん生存者の長期的な健康転帰を改善できる可能性がある。
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