インドにおける希少遺伝性疾患の負担:3次医療機関における22年間の経験。
DOI:10.1186/s13023-024-03300-z
アブストラクト
背景:希少疾患は、多臓器に影響を及ぼす約7500種類の疾患から構成される。希少疾患の診断は、専門的な医療従事者や検査施設が少ないこと、治療法の選択肢が限られていることから複雑である。様々な集団における希少疾患の有病率に関するデータは乏しい。インドには4600の人口集団が存在し、そのうち数千は内縁関係にある。本研究は、インドの3次遺伝子検査センターで同定された希少遺伝病患者コホートのレトロスペクティブな概要を提供するものである。
結果:本研究コホート全体では、305の希少疾患を有する3294人の患者が同定された。これらは罹患した主要臓器/器官系に基づいて14の疾患群に分類された。最も多くの希少疾患(D = 149/305、48.9%)が神経筋・神経発達症(NMND)群で同定され、次いで先天代謝異常(IEM)群(D = 47/305、15.4%)であった。今回のコホートでは、大部分の患者(N=1992、61%)がIEM群と診断され、そのうちゴーシェ病が最大症例(N=224、11.2%)を占めた。NMND群では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(N = 291/885、32.9%)、三塩基反復拡大障害(N = 242/885、27.3%)、脊髄性筋萎縮症(N = 141/885、15.9%)が最も多かった。血液学的疾患ではβ-サラセミア(N = 120/149、80.5%)、肺疾患では嚢胞性線維症(N = 74/75、98.7%)が多かった。Tay-Sachs病とムコ多糖症IVA病では創始変異が同定された。ゴーシェ病(GBA:c.1448T > C)、βサラセミア(HBB:c.92.+5G > C)、非シンドローム性難聴(GJB2:c.71G > A)、アルビニズム(TYR:c.832C>T)、先天性副腎過形成(CYP21A2:c.29-13 C>G)、進行性偽リウマチ性異形成(CCN6:c.298T>A)が観察された。
結論:3次遺伝子検査センターで診断された希少疾患患者を対象とした今回の後ろ向き研究により、全国的な希少遺伝性疾患の分布について初めて知ることができた。この情報は、新生児スクリーニングプログラム、希少疾患の安価な診断のためのターゲットに特化したパネルの開発、そして最終的には希少疾患の新しい治療戦略を考案するためのプラットフォームの構築など、将来の健康政策の立案に役立つと思われる。
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