母親のプレバイオティクス補給が母乳の免疫学的組成に及ぼす影響:SYMBA研究からの考察。
DOI:10.1111/pai.14226
アブストラクト
背景:ヒト乳汁(HM)中の免疫調節タンパク質は、乳児の免疫発達を形成する。しかし、そのレベルを調節する戦略は現在のところ不明である。本研究では、母親のプレバイオティクス補給が母乳中の免疫調節タンパク質のレベルを変化させるかどうかを調べた。
方法:本研究はSYMBA二重盲検ランダム化比較試験(ACTRN12615001075572)内にネストされ、妊娠中の妊娠21週未満から授乳中の出生後6ヵ月までの母親のプレバイオティクス(短鎖ガラクトオリゴ糖/長鎖フラクトオリゴ糖)補給が子どものアレルギー疾患リスクに及ぼす影響を検討した。本研究では、プレバイオティクス(n = 46)またはプラセボ(n = 54)を摂取した母子2組を対象とした。2ヵ月、4ヵ月、6ヵ月に採取したHM中の24種類の免疫調節タンパク質の濃度を測定した。
結果:クラスター解析の結果、両群のミルクサンプルの全体的な免疫調節タンパク質組成は類似していた。2ヵ月後、プレバイオティクスを摂取した女性のHMは、プラセボ群と比較して、TGF-β1とTSLPが減少し(95%信頼区間:それぞれ-17.4 [-29.68, -2.28], -57.32 [-94.22, -4.7])、sCD14が増加した(95%信頼区間:1.81 [0.17, 3.71])。4ヵ月後のIgG1は、プラセボ群と比較してプレバイオティクス群で低かった(95%CI:-1.55[-3.55、-0.12])。
結論:この探索的研究は、授乳中の母親によるプレバイオティクスの摂取が、HMにおける特定の免疫調節タンパク質を選択的に変化させることを示している。この知見は、妊娠中および授乳中の女性に推奨されるプレバイオティクスの食事が、どのようにHMの免疫特性を変化させ、母乳育児による免疫サポートを通じて乳児の健康転帰に影響を及ぼす可能性があるかを理解する上で極めて重要である。