全国成人サンプルにおける小児期の有害体験とHPVワクチン接種の関係を探る。
DOI:10.1016/j.chiabu.2024.107013
アブストラクト
背景:米国成人の60%以上が小児期の不利な体験(ACE)を報告しており、それがリスキーな健康行動や医療予防手段の利用低下と相関し、その後の慢性疾患につながる可能性がある。
目的:本研究では、米国の成人全国サンプルにおいて、ACEとヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種との関係を調査した。
対象者および設定:2019年(ミシシッピ州、サウスカロライナ州、テネシー州)、2020年(ジョージア州、ミシシッピ州、ノースダコタ州、サウスカロライナ州)、2021年(ミシシッピ州)、2022年(アーカンソー州)に収集された、米国疾病予防管理センター行動危険因子サーベイランスシステム(Centers for Disease Control and Prevention Behavioral Risk Factor Surveillance System)の特定州のデータを用いた(それぞれN=3578、4392、904、810)。
方法:SAS9.4を用いて記述的分析,単変量分析,多変量回帰分析を行った。独立変数はACE、従属変数はHPVワクチン接種とした。
結果:4つ以上のACEを有する者は、ACEを有さない者と比較して、2019年、2020年、2021年にHPVワクチン接種を報告する可能性が有意に高かった(OR = 1.40、1.77、2.80、すべてp < 0.05、それぞれ2022年(OR = 1.54、p = 0.165)を除く)。2019年では、特定のACEタイプ、感情的虐待、家庭内精神疾患がHPVワクチン接種と関連していたが、2021年では、感情的虐待、家庭内精神疾患、投獄された世帯員、家庭内物質乱用、2022年では、感情的虐待がHPVワクチン接種と関連していた。
結論:ACEsとHPVワクチン接種との関連は、特に最初の3年間はほぼ肯定的であった。しかし、2022年の結果は、感情的虐待を除いて有意ではなかった。ACEsとHPVワクチン接種の関係には経時的に多様なパターンが観察され、ACEsとHPVワクチン接種のデータ収集に一貫性を持たせる必要性が強調された。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。