注意欠陥多動性障害(ADHD)の小児における低成長と低身長:ある3次小児内分泌センターで成長ホルモン誘発試験を受けた493人の小児の後方視的研究。
DOI:10.1515/jpem-2024-0268
アブストラクト
目的:注意欠陥多動性障害(ADHD)児における成長ホルモン(GH)欠乏症(GHD)はまれであるという仮説を立てた。本研究の目的は、精神刺激薬を服用しているADHDまたは特発性低身長(ISS)の小児において、GH誘発試験を含む臨床的または生化学的パラメータを明らかにすることである。
方法:ある3次小児内分泌センターで1998年から2013年の間にGH誘発試験を受けた小児のレトロスペクティブ横断研究。臨床データには、年齢、性別、身体計測、思春期、骨年齢、欧州小児内分泌学会(ESPE)による診断コード、GH誘発試験結果、甲状腺機能検査、血清インスリン様成長因子-1(IGF-1)およびインスリン様成長因子結合蛋白-3(IGFBP-3)値が含まれた。
結果:研究期間中にGHDを除外するために低身長を調べるGH誘発試験を受けた被験者は493名であった。51人の子供がADHDと診断された。残りの小児では、診断は特発性低身長(n=240)、GHD +/-下垂体機能低下症(n=60)、142人はその他の低身長の原因であった。ADHDの小児は年齢が高く、身長と体重のSDSが高く、GHが充足していた。ADHDの子供51人全員は血清IGFBP-3が正常であったが、51人中20人は血清IGF-1が低かった。
結論:精神刺激薬を服用しているADHD児におけるGHDはまれである。特に血清IGFBP-3が正常範囲であれば、ADHDの小児におけるGH検査は必要ないかもしれない。われわれは、IGFBP-3がADHD児におけるGH充足の代用マーカーとして使用できる可能性を示唆している。しかし、このことについては、より大規模な研究グループで確認する必要がある。