原発性免疫不全患者から排泄されたワクチン由来ポリオウイルスにおける神経ウイルス変異の復帰、組換え、および高い宿主内多様性。
DOI:10.1002/jmv.29918
アブストラクト
原発性免疫不全症(PID)患者は、特に診断前に経口生ポリオワクチンを接種した場合、ポリオウイルス(PV)に感染する可能性がある。このような患者は、長期にわたって多様な株を排出し、ポリオウイルス伝播のリザーバーとなる可能性がある。本研究では、MHCクラスII欠損患者から採取した完全なPVゲノムの遺伝的進化が、排泄期間および臨床転帰に及ぼす影響について検討した。3人のPID患者から採取した便検体について、細胞培養による接種とリアルタイムPCRによるPV検出のための解析を行い、その後イルミナ技術を用いたVP1部分配列決定と全ゲノム配列決定を行った。その結果、ウイルスを排除した1人の患者では変異数が少なかったが、2人の患者では宿主内多様性が高く、重篤な転帰の確立に有利であることが明らかになった。2人の患者では神経ウイルス性逆変異が検出され、麻痺の発症につながった可能性がある。さらに、3型ワクチン由来ポリオウイルスとSabin-like1(VDPV3/SL1)間の組換え事象が1人の患者で発生した。今回の結果から、宿主内多様性、組換え、ウイルスの長期排泄、高病原性株の出現との関連が示唆された。ウイルスの進化をより深く理解し、世界ポリオ撲滅イニシアチブを成功させるためには、宿主内多様性に関するさらなる研究が不可欠である。