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小児における腸内細菌血流感染症の動向。

DOI:10.1542/peds.2023-063532

アブストラクト

目的:腸内細菌血流感染症(Enterobacterales bloodstream infections:E-BSI)は、小児に大きな疾病負担をもたらし、抗菌薬耐性と関連している。オーストラリアのクイーンズランド州における小児のE-BSIの集団ベースの発生率の経時的変化を評価した。

方法:2000年から2019年にかけて、総人口1,970万人のクイーンズランド州の小児で発生したE-BSIのコホート研究を実施した。感染症は、入院およびバイタル統計データベースにおける臨床転帰にリンクさせた。年齢および性で標準化したE-BSI発生率を経時的に推定した。副次的転帰には、1年当たりの広域スペクトルβ-ラクタマーゼ表現型の割合、入院期間、および死亡率を含めた。

結果:1795例の小児で1980件のE-BSIが確認された。年齢と性で標準化した全体の発生率は10万小児年あたり9.9例で、調査期間中に7.3例から12.9例に増加し、1年あたり3.9%(95%信頼区間:3.1-4.7)の増加であった。大腸菌血流感染症は小児10万人当たり3.6例で、毎年4.7%(3.5~5.9%)増加していた。サルモネラ(Salmonella sp.)血流感染症罹患率は小児年齢10万人当たり3.0人で、2013年から年間13.7%(3.8~24.3人)増加した。広域β-ラクタマーゼ大腸菌の割合は経時的に増加した。死亡率および入院期間は、合併症を有する小児のほうが有さない小児よりも高かった(それぞれ4.0%対0.3%、14日対4日、P<0.001)。

結論:クイーンズランド州の小児におけるE-BSIの年齢・性別標準化発生率は、サルモネラ属菌と大腸菌の増加により、20年間でほぼ倍増した。大腸菌の耐性の増加は、抗菌薬の臨床試験に小児を含めることを促すべきである。

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