小児に発症した免疫介在性炎症性疾患における癌のリスク-全国調査。
DOI:10.1016/j.jaut.2024.103321
アブストラクト
背景と目的:成人発症の免疫介在性炎症性疾患(IMID)は、いくつかの癌のリスクを増加させる。しかし、小児発症免疫介在性炎症性疾患(pIMID)に関するデータはまだ少ない。我々は、pIMIDにおける長期がんリスク、および治療と特定のがんとの関連を推定した。
方法:1980年1月1日から2018年12月31日までに診断されたpIMID患者を特定するため、デンマーク全国健康登録簿を用いた。患者は年齢、性別、居住地に基づいて10人の参照個人とマッチさせた。一次曝露は、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデス、血管炎、結合組織病を含むpIMIDであった。二次暴露は免疫調節薬と腫瘍壊死因子α拮抗薬(抗TNFα薬)であった。主要アウトカムは癌であった。推定値は、診断時の家族所得(AHR)で調整したハザード比として示した。
結果:pIMID患者12,664人と参照人109,274人を対象とした。追跡期間中央値は、患者10.6年(四分位範囲:5.4-17.7)、参照人10.2年(四分位範囲:5.2-17.3)であった。pIMID患者では、基準患者と比較してがんリスクが2倍高かった(AHR 2.2[95%信頼区間(CI):1.8-2.6])。チオプリン治療はリンパ腫(AHR 6.1[95%CI:2.2-16.8])および皮膚がん(AHR 6.1[95%CI:2.4-15.4])の高リスクと関連していた。抗TNFα療法はリンパ腫の高リスクと関連していた(AHR 4.9[95%CI:1.1-22.6])。
結論:成人期まで追跡したpIMID患者において、がんリスクの増加が認められた。さらに、チオプリンと抗TNFαはリンパ腫と皮膚がんのリスク上昇と関連していた。このことは、個別化免疫療法とがんサーベイランスの重要性を強調している。