気質と運動発達の関連を調べる:生後6~42ヶ月の乳児を対象とした縦断的研究。
DOI:10.1186/s12887-024-05038-w
アブストラクト
背景:1920年代以降、運動発達は、寝返りやハイハイといった乳幼児の運動技能の獲得に焦点を当てた強力な研究テーマであった。1980年代には、ダイナミックシステムアプローチにより、子ども自身の動機づけが重視されるようになり、運動技能の獲得における個人差の説明に役立つようになった。しかし、早期運動発達における個人差の要因を検討した研究はほとんどない。そこでわれわれは、生後6ヵ月から3歳までの子どもを対象に、気質と運動能力の発達との関連について、方向性を検討した。
方法:日本環境と子ども調査(JECS-A)は、2011年1月から2014年3月の間に母親を募集した。2,639名の母親に6ヵ月時点で質問票を送付し、そのうち1,657名から回答を得た。6ヵ月児、2歳児、3歳児の全データ(双子の母親3名を含む)を構造方程式モデリングにより解析した。各年齢における巧緻運動と粗大運動に関する質問項目は、発達障害を専門とする小児神経科医によって選択された。42ヵ月時に日本語版の小発達協調運動障害質問票を実施した。気質は、乳幼児、幼児、小児を対象に、親が報告する行動質問票(短縮版)を用いて評価した。3つの測定法すべてにおいて、SurgencyとNegative Affectivityが抽出され、自己調節の主要な形態であるEffortful Controlは、先行研究と同様に幼児期から認められた。
結果:パスダイアグラムによると、6ヵ月時点ではSurgencyとOrienting/Regulationが運動機能と正の相互作用を示した(それぞれr = .57; r = 40, ps < .001)。3歳頃までは、努力性統制が運動機能を促進する役割を果たし、その結果、運動中の統制(CDM)、全般的協調性(GC)、微細運動(FMM)に正の効果をもたらした(β = 14; β = 30; β = 37, ps < 0.001)。SurgencyはCDMとGCに正の影響を及ぼし(β = 18; β = 06, ps < 0.001)、一方、Negative AffectはFMMとGCに負の影響を及ぼした(β = -.08; β = -.08, ps < 0.001)。
結論:Surgencyは早期運動発達における重要な反応因子であると考えられるが、Effortful Controlと運動は相互作用的に発達する。
試験登録: UMIN000030786.学術タイトル日本環境と子ども研究研究公開日:2018/01/15。本試験では質問紙調査のみを実施した。
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