小児発症炎症性腸疾患におけるvedolizumabとustekinumabの有効性:多施設共同実臨床試験。
DOI:10.1002/jpn3.12384
アブストラクト
目的:vedolizumabおよびustekinumabは、成人の炎症性腸疾患(IBD)患者において、副腎皮質ステロイドを使用しない臨床的寛解(CFR)の導入および維持に有効である。本試験では、小児IBDにおけるvedolizumabとustekinumabの有効性と安全性を検討する。
方法:北フランスの3施設でvedolizumabまたはustekinumabによる治療を受けた18歳以下のクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)全患者をレトロスペクティブに追跡した。主要アウトカムは14週目(W14)のCFRとした。
結果:2016年から2021年の間にvedolizumabが25例(CD9例、UC16例)、ustekinumabが33例(CD28例、UC5例)に投与開始された。全員が抗腫瘍壊死因子(TNF)による治療歴があった。診断から治療開始までの期間中央値は、vedolizumabが21.0ヵ月(12.0~44.0ヵ月)、ウステキヌマブが42.0ヵ月(22.0~73.5ヵ月)であった。vedolizumab投与群では、W14時点で36%がCFRにあり、CDでは22%、UCでは44%であった。W52では56%がCFRであり、CDでは33%、UCでは69%であった。ウステキヌマブ投与群では、W14時点で49%がCFRであり、そのうちCDが54%、UCが20%であった。W52では55%がCFRであり、CDでは57%、UCでは40%であった。vedolizumab投与群ではW0からW52の間に成長速度中央値が+2SDと有意に増加した(p = 0.0002)。vedolizumab投与中に4件の有害事象が報告されたが、ustekinumab投与群では報告されなかった。
結論:vedolizumabとustekinumabは小児発症IBDにおいてCFRの誘発と維持に有効であると思われる。これらの結果を確認するためには、ランダム化比較試験が必要である。