幼児期の感染症、抗生物質と小児期および成人早期発症の炎症性腸疾患のリスク:スカンジナビアの2つの出生コホートのプール解析。
DOI:10.1111/apt.18358
アブストラクト
背景:小児期の抗生物質使用は炎症性腸疾患(IBD)と関連しているが、感染頻度の潜在的な寄与は不明である。
目的:幼少期の感染症、抗生物質とIBD発症との関連を調べる。
方法:ABIS(スウェーデン)およびMoBa(ノルウェー)のコホートから、出生時(1997~2009年)から2021年までの小児を追跡した集団ベースのデータを用いた。プロスペクティブに収集した質問票により、3歳までの感染頻度(いずれか、消化器系、呼吸器系)と抗生物質(いずれか、ペニシリン系、非ペニシリン系)を特定した。IBDの診断には全国健康登録の2つ以上の記録が必要であった。親の教育、喫煙、IBDで調整したコホート特異的ハザード比(aHR)を推定し、ランダム効果モデルを用いてプールした。抗生物質の解析は感染頻度で調整した。
結果:103,046人の小児(ABIS:11,872人、MoBa:91,174人)、1,663,898人年の追跡期間中、395人がIBDと診断された。0~1年未満および1~3年未満におけるいずれかの感染症の頻度は、IBDの感染症追加1件あたり1.01(95%信頼区間[CI]=0.96-1.07)および1.00(95%CI =0.99-1.01)のプールaHRを示した。感染症で調整すると、最初の1年間に抗生物質を投与した場合と投与しなかった場合では、IBDとの関連がみられた(プールaHR = 1.33 [95% CI = 1.01-1.76])。追加抗生物質コースのaHRは1.17(95%CI = 0.96-1.44)であり、ペニシリン(追加1コースあたり、aHR = 1.28 [95%CI = 1.02-1.60])が牽引した。1~3年未満の抗生物質はIBDやクローン病との関連を示さなかったが、非ペニシリン系抗生物質は潰瘍性大腸炎と関連していた(1コース追加あたり、aHR=1.95[95%CI=1.38-2.75])。
結論:早期の抗生物質使用は、感染頻度とは無関係に、小児期および成人早期発症IBDの有意な危険因子であった。