妊娠中の母親の食事と子供の炎症性腸疾患のリスク:前向きコホート研究。
DOI:10.1016/j.ajcnut.2024.10.017
アブストラクト
背景:食事は炎症性腸疾患(IBD)発症の危険因子であると考えられてきた。
目的:本研究の目的は、妊娠中の母親の食事の多様性および質と、子供のIBDリスクとの関連を検討することである。
方法:85,129人のノルウェーの小児(1999~2009年)を対象とした全国コホート研究のデータを用い、有効な食物摂取頻度調査票から妊娠中の母親の食事に関する情報を得た。母親の食事の多様性、質、個々の食品群の摂取量によるIBD、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)のハザード比(HR)を、母親のBMI、親のIBD、社会人口統計学的因子で調整した。感度分析では、子どもの早期の食事の質および抗生物質治療について調整した。食事暴露は三分位に分類し、低レベル(基準)と中レベル、高レベルを比較した。
結果:平均追跡期間16.1年(追跡期間1,367,837人年)の間に、268人の小児がIBDを発症した(CD、n = 119; UC、n = 76; IBD未分類、n = 73)。妊娠中の食事の多様性が低い場合と比べて高い場合は、子供のUCのリスクが低いことと関連しており[調整HR(aHR)0.46、95%信頼区間:0.25、0.87]、子供の早期の食事の質および抗生物質治療についてさらに調整した後も、一貫した所見が得られた。妊娠中の食事の多様性が高い場合、低い場合のaHRは、CDで0.81(0.51-1.28)、IBDで0.75(0.55-1.02)であった。妊娠中の食事の質が高い場合と低い場合、または特定の食品群の摂取量は、子孫のIBDまたはそのサブタイプのリスクとは関連しなかった。
結論:この結果は、妊娠中の母親の食事の多様性が高いほど、子供のUCリスクが低いことを示唆している。