高分解能心エコー法を用いた小児川崎病患者の冠動脈IMTの非侵襲的画像化に成功した。
DOI:10.1038/s41598-024-77345-2
アブストラクト
川崎病(KD)は中・小動脈の多系統血管炎である。冠動脈瘤(CAA)の退縮後、病変部では異常な内膜肥厚が生じることがある。内膜機能障害は将来、局所狭窄や動脈硬化を誘発する可能性がある。この症例対照研究では、29人の連続したKD患者[男性20人、現在の年齢中央値7.9歳、追跡期間中央値5.7年]と29人の健常マッチドコントロール(CON)群[男性19人、現在の年齢中央値10.8歳]を調査した。高分解能経胸壁心エコー(hrTTE)により、CAA、LVFS、GCS、GLS、冠動脈(CA)Zスコア、頸動脈内膜中膜厚(IMT)、冠動脈IMTを評価し比較した。冠動脈IMT(caIMT)は、急性KDでCA Zスコアの最大値が2.5を超えた患者で、CONよりも有意に高かった:KDのcaIMT:0.62mm[IQR、0.57-0.72mm] vs. 0.53mm[0.51-0.60mm]、p = 0.043。CAAは急性KD患者15例(51.7%)に認められた。急性KDにおけるLCA Zスコアの最大中央値は2.57z[IQR, 1.93-3.2z]、追跡調査では-0.39z[IQR, -1.25--0.36z]であった。頸動脈IMTはKD患者とCON患者で有意差はなかった。CA内膜中膜肥厚の徴候がhrTTEによって検出されたのは、急性KDでCA Zスコアが最大2.5を超えた患者であった。これらのデータから、これらの患者はCA内腔に永続的な異常がなくても、心血管系に後遺症を残す危険性があることが示された。したがって、このようなKD患者群については長期的な経過観察が必要であろう。
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