発達遅滞児における視覚運動統合のためのタブレットコンピュータを用いた認知トレーニング:パイロット研究。
DOI:10.1186/s12887-024-05162-7
アブストラクト
背景:視覚運動統合(VMI)の障害は発達遅滞(DD)児によくみられる。本試験は、タブレット型コンピュータを用いた認知トレーニングが発達障害児のVMIに及ぼす影響を評価することを目的とした。
方法:本研究では、DDと診断された4歳から18歳未満の小児を対象とした。児童は12週間のタブレット型コンピュータを用いた視覚-空間および視覚運動トレーニングプログラムに参加した。参加者はMind Rx Kids Program(ブレイン・アカデミー、韓国、ソウル)を受けた。参加者は、毎日30分のタブレット型コンピュータを用いたトレーニングを12週間受けた。主な視覚運動機能は、Beery-Buktenica Developmental Test of Visual-Motor Integration, 6th Edition (VMI-6)を用いて測定された。副次的アウトカムについては、QUEST(Quality of Upper Extremity Skills Test)、WeeFIM(Functional Independence Measure for Children)、CARS(Childhood Autism Rating Scale)、ARS(Attention deficit hyperactivity disorder Rating Scale)、Child Smartphone Addiction Observer Scaleを用いて、12週間の治療前後に測定した。治療前後の転帰の比較にはウィルコクソンの符号順位検定を用いた。
結果:本研究には10名のDD児が参加した。12週間のタブレット型コンピュータを用いた認知トレーニングの結果、Beery VMI-6の生得点、標準得点、パーセンタイル得点、相当年齢に有意な改善がみられた。さらに、QUESTスコアとWeeFIMスコアにも有意な改善がみられた。CARS、ARS、スマートフォン中毒観察者尺度には改善がみられたが、統計学的に有意ではなかった。
結論:このパイロット研究では、タブレット型コンピュータを用いた認知トレーニングをDD児に適用することで、VMIが改善するだけでなく、巧緻運動技能や日常生活動作も向上することが確認された。さらに、本研究の結果から、タブレット型コンピュータを用いた認知トレーニングは、デジタルメディア中毒を増加させないことが示された。したがって、DDの子どもたちは、デジタルメディア中毒を心配することなく、家庭でタブレットコンピューターを用いた認知トレーニングに取り組むことができる。
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