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エチオピアの母子世帯における栄養不良とその関連要因の二重負担:緊急の公衆衛生問題であり、セクター全体の協力が必要である。

DOI:10.1371/journal.pone.0307175

アブストラクト

はじめに:エチオピアのような開発途上国では、低栄養と過栄養が共存しており、「母子二重の栄養失調」となっている。子どもは発育阻害、消耗症、低体重のいずれかになり、母親は過体重や肥満に直面する。これは公衆衛生上の大きな課題であり、世界保健機関はこの問題を優先し、各国政府に早急な対応を促している。にもかかわらず、エチオピアでは、家庭レベルでの母子間の栄養不良の二重負担と、それを悪化させる要因に関する研究が不足している。

目的:2022年、東エチオピアにおける母子世帯レベルでの栄養不良の二重負担の大きさとその関連要因を評価する。

方法:2022年4月15日から6月11日まで、東エチオピアにおいて地域ベースの横断研究を実施した。多段階サンプリングを用い、構造化面接によりデータを収集した。子どもの栄養指標はWHO Anthroソフトウェアを用いて処理した。2値ロジスティック回帰分析を実施し、関連を評価するために粗オッズ比と調整オッズ比の両方を算出した。多変量解析でP値<0.05の変数は統計的に有意とみなされた。

結果:(OM/SC)、(OM/WC)、(OM/UC)の栄養不良併発率は、それぞれ8.5%、7.0%、7.9%であった。母子ペアにおける栄養不良の二重負担は12.3%[95%CI:10.7、13.7]であった。婚姻状況(離婚)[AOR=1.80;95%CI:1.15、2.82]、子どもの出生順位(4番目以上)[AOD=1.88;95%CI:1.08、3.26]、世帯内の5歳未満児の数(5歳未満児以上)[AOR=1.58;95%CI:1.04、2.39]、母子の食事多様性不良スコア[AOR=2.76;95%CI:1.71,4.45]、[AOR=8.66;95%CI:4.85,15.44]、世帯の食料安全保障状況(食料不安)[AOR=3.68;95%CI:2.36,5.75]、母親の身長(低身長)[AOR=2.39;95%CI:1.65,3.45]が、それぞれこの負担と有意に関連する因子であった。

結論:本研究は、母親と子どもの両方に影響を及ぼす栄養不良の二重の負担を強調したものであり、この地域における公衆衛生の大きな関心事である。早期栄養は、この二重の負担につながる小児期の低栄養と成人肥満を防ぐために不可欠である。世代を超えた栄養不良の連鎖を断ち切ることが重要である。政策立案者は、栄養不良の母子二重負担に対処するために、早期栄養を強調し、子どもの栄養と母親の健康を改善することを優先すべきである。

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