青少年のワクチン試験参加における倫理的問題:タンザニアにおけるヒトパピローマウイルスワクチン試験から得られた家族の意思決定に関する質的洞察。
DOI:10.1186/s12910-024-01122-z
アブストラクト
背景:小児を対象とした研究は、小児が研究の成果から利益を得るために不可欠であるが、その関与は潜在的な害と天秤にかけなければならない。多くの国や状況において、医学研究では法的に18歳まで親の同意が必要であり、それ以前の同意については十分に定義されていない。しかし、このような決定が家族によってどのようになされるのか、またその倫理的意味を探る研究はほとんどない。
目的:ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの臨床試験への小児・青年の参加に関する意思決定における重要な倫理的論点を探る。
方法:HPVワクチンの臨床試験に参加したタンザニアの女児(9~16歳)(n=13)、その両親または保護者(n=12)、および女児とその両親(親子ペア面接)(n=6)を対象に、半構造化面接を行った。インタビューは主題分析を用いて分析した。インタビューデータは、タンザニアの女児を対象とした2種類のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの投与量削減と安全性試験(DoRIS)試験の一環として実施された質的受容性研究から得られたものである。
結果:女児と保護者は共同での意思決定を望み、最終的には保護者が同意を決定した。しかし、女児は意思決定においてより大きな役割を望んでいた。同意の決定には、広範な社会的ネットワーク、試験チーム、報道機関、医療専門家など多くの人々が関与し、その結果、交渉すべき対立が生じた。どこに信頼を置くかを決めることは、参加者と両親が同意の決定を検討し、臨床試験への参加に関する噂を克服する上で中心的な役割を果たした。
結論:意思決定に関する既存のモデルは、両親、青少年、研究者の間の力学を理解するのに役立つが、より広い社会的影響や信頼の基本的な性質を軽視している。話し合いにおける子どもの役割は、同意の原則である「自律性」「自由」「情報」を用いて評価することができる。関係性の自律といった概念は、家族が複雑な同意の決定について交渉する際に用いるメカニズムを説明するのに役立つ。インタビューでは、法的な親の同意が維持されることが支持されたが、研究者は、家族全体の意思決定プロセスが確実にサポートされるよう、子どもを中心とした同意プロセスを設計しなければならない。