低・中所得国の青少年における9価ヒトパピローマウイルスワクチン1回接種プログラム採用の保健的・経済的影響のモデル化:インドネシアの分析。
DOI:10.1371/journal.pone.0310591
アブストラクト
背景:最近のエビデンスによると、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの1回接種は、2回または3回接種と比較して、HPV感染リスクの減少において同程度の効果がある可能性が示唆されている。
目的:中低所得国(LMIC)における9価HPVワクチンの1回接種または2回接種プログラムの実施による公衆衛生への影響と費用対効果を評価する。
方法:動的伝播モデルをインドネシアの設定に適合させ、KEN SHE試験から得られた3年間のワクチン有効性データ(ベースケース)とインドIARC試験から得られた10年間の有効性データ(代替分析)を組み込んだベイズの枠組みの下で推定された、1回接種の予防レベルと持続性の不確実性を反映した分布を用いて確率論的感度分析を行った。シナリオには、女児のみ、または女児と男児を対象とした異なる接種率が含まれた。費用と便益は、国家単独負担の観点から100年間にわたって計算された。
結果:適用範囲と対象人口によって異なるが、2回接種プログラムで回避されたがん症例数の中央値は60万~210万人であったのに対し、1回接種プログラムでは20万~60万人であった。1回投与プログラムは、低い支払い意思額(WTP)閾値においても、2回投与プログラムに比べて費用対効果が低い可能性が高い。女児のみの2回接種プログラムは、特にカバー率、接種価格、割引率が高いシナリオでは、WTP閾値が低いほど費用対効果が高くなる傾向があり、一方、女児と男児の2回接種プログラムは、WTP閾値が高いほど費用対効果が高くなる。代替分析では、1回接種プログラムは、基本ケースと比較して、特にWTP閾値が低く(GDPが0.5未満)、カバー率、接種価格、割引率が高い場合に、費用対効果が高くなる確率が高い。
結論:LMICにおいて9価ワクチンを用いた1回接種プログラムを採用した結果、2回接種プログラムよりもワクチンで予防可能なHPV関連がん症例が多く発生した。幅広いWTP閾値とシナリオにおいて、2回接種プログラムは1回接種プログラムよりも費用対効果が高かった。