中国衢州市におけるCOVID-19非薬理学的介入緩和後の入院小児における急性呼吸器感染症の病因分析。
DOI:10.1186/s12879-024-10257-8
アブストラクト
背景:急性呼吸器感染症(ARI)は小児の罹患率と死亡率の原因となる。本研究は、中国衢州市におけるCOVID-19非薬理学的介入(NPI)緩和後のARIの入院小児における病原体の特徴を明らかにすることを目的とした。
方法:2023年5月から10月までにARIを発症した入院小児を登録し、13種類の一般的な呼吸器病原体を蛍光定量ポリメラーゼ連鎖反応により検査した。単感染および共感染を評価し、病原体と年齢との関連を制限付き三次スプライン分析を用いて検討した。
結果:合計1225人の小児が対象となり、そのうち820人から1つの病原体が検出され、238人から2つ以上の病原体が検出された。優勢な病原体は月によって異なる。単感染では肺炎マイコプラズマ(Mp)が最も多く、次いで呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトライノウイルス(HRV)であり、インフルエンザウイルスの検出率は低かった。Mp+HRVの組み合わせは、最も一般的な重複感染であった。MpとHRVの検出率は単独感染よりも重複感染で高かったが、RSVの検出率に差はなかった。1~3歳の小児では陽性検出率が最も高く、複数の病原体に感染している可能性が高く、呼吸器病原体の単独感染が40%、重複感染が47.48%であった(χ=4.245、P=0.039)。制限付き三次スプラインモデルでは、年齢とMp感染との間に一貫してJ字型の関連が観察され、HRVのリスクは最初に増加し、その後減少し、RSVのリスクは1.5年までは比較的横ばいであり、その後急速に減少した。
結論:本研究により、NPI緩和後のARI病原体の疫学的特徴が明らかになった。Mp、RSV、HRVの陽性率は最も高く、インフルエンザウイルスの陽性率は依然として低い。さらに、年齢と季節が呼吸器病原体の分布に影響を及ぼしている。これらの結果は、地域の公衆衛生対応の指針となる継続的な地域病原体サーベイランスの重要性を強調している。