小児期の肥満と成人期の炎症性腸疾患のリスク:メンデルランダム化研究。
DOI:10.1097/MD.0000000000040478
アブストラクト
小児期の肥満が成人の様々な消化器疾患と関連することはよく知られており、炎症性腸疾患(IBD)も例外ではない。しかし、これまでの疫学的観察研究では、両者の間に相関関係があることは報告されているものの、因果関係については結論が出ていない。本研究の目的は、2標本のメンデルランダム化(MR)解析を用いて、小児期の肥満とIBDおよびその亜型(潰瘍性大腸炎[UC]およびクローン病[CD])との因果関係を評価することである。小児肥満、IBD、およびその亜型(UCとCD)に関するデータは、IEU OpenGWAS(https://gwas.mrcieu.ac.uk/datasets/ieu-a-1096/)とIIBDGC(https://www.ibdgenetics.org/)から入手した。データは、逆分散加重法(IVW)、MR-Egger法、加重中央値法、単純最頻値法、加重最頻値法を用いて分析した。MR分析では、小児期の肥満とIBDおよびその亜型(UCおよびCD)との間に因果関係はないことが示された。IVW法、MR-Egger法、加重中央値法、単純最頻値法、加重最頻値法における結果の一貫性は、所見の信頼性を示唆している。小児期の肥満はIBDやその亜型(UCおよびCD)と因果関係はないことがわかった。これは先行研究とは異なる。観察された相違は、共通の生物学的あるいは環境的交絡因子によるものかもしれない。