小児IBD患者におけるインフリキシマブ維持点滴後、腸内細菌叢の多様性は経時的に繰り返し減少する。
DOI:10.1371/journal.pone.0311604
アブストラクト
背景:腸内細菌叢は炎症性腸疾患(IBD)の発症と進行に重要な役割を果たしている。治療との関連における腸内細菌叢の動態を理解することは、疾患管理と治療戦略に貴重な知見をもたらす。本研究の目的は、小児のIBD患者において、インフリキシマブ(IFX)維持療法中の腸内細菌叢の多様性と組成が、治療開始からの期間および疾患活動性と相関するかどうかを検討することである。
方法:IFX-eHealth試験に参加した10~17歳のIBD患者からデータを収集した。週1回の便中カルプロテクチン(FC)と症状スコアに基づき、4~12週間隔でIFX点滴が行われた。余剰便サンプルは、16S rRNA遺伝子配列決定を用いたマイクロバイオームプロファイリングを受けた。α多様性と単一分類群を含むマイクロバイオームの特徴を、1)治療開始からの週数、2)FC、3)症状スコアの3つの主要変数について解析した。
結果:クローン病(n=16)または潰瘍性大腸炎(n=9)と診断された25人の患者(年齢中央値14.4歳)から、15回の治療間隔で採取された671の糞便サンプルについて微生物叢が分析された。治療開始後4週間以内に増加したシャノンの多様性は、経時的に有意に減少した。FC値はα多様性との関連を示さなかったが(p>0.1)、症状スコアはUC患者のシャノン多様性および観察された多様性と負の関連を示した。属レベルでは、UC患者では、Anaerostipes属とFusicatenibacter属(ファーミキューテス属)の存在量が少なく、Parasutterella属(プロテオバクテリア属)の存在量が多いことが、最終点滴からの経過時間と関連していた(p.adj<0.05)が、コホート全体ではParasutterella属のみが関連していた(p.adj = 1e-10)。
結論:IFX注入後、最初に多様性が増加した後、α多様性が経時的に繰り返し減少することがわかった。個人のマイクロバイオームの変化は、臨床症状やFCの増加に先立ち、疾患活動性の増加の初期徴候である可能性がある。