アトピー性皮膚炎コントロールツール(ADCT)を用いて、アトピー性皮膚炎患者のコントロールの程度を確立する。
DOI:10.15586/aei.v53i1.1197
アブストラクト
背景:アトピー性皮膚炎(AD)は多因子性病因の疾患であり、罹患者のQOLに影響を及ぼす。
目的:アトピー性皮膚炎コントロール測定法(ADCT)を用いて、12歳以上のAD患者のコントロールの程度を測定した。
材料と方法:この観察的、横断的、記述的研究では、ADCTという自己記入式の測定器で評価されたAD患者を対象とした。カテゴリー変数にはPearsonのカイ二乗およびStudentの検定を用いた。連続変数間の関連は、ピアソン相関およびスピアマン相関を用いて分析した。
結果:合計55名のAD患者が含まれ、女性42名(76.4%)、男性13名(23.6%)であった。年齢中央値は24歳(12-63歳)であった。疾患コントロールの程度については、23例(41.8%)で十分、32例(58.2%)で不十分であった。患者の性別、年齢、仕事内容、居住地、教育レベルは、コントロールの程度に関する統計学的に有意な因子ではなかった。最も多くみられた合併症はアレルギー性鼻炎で、コントロールが十分であった患者ほどその割合が高かった(p = 0.049)。コルチコステロイドによる治療は良好な疾患コントロールと関連していた(p <0.001)。症状コントロールについては、SCORADスコアとADCTスコアの間に高い正の相関(r = 0.770、p < 0.001)がみられた。SCORADスコアとPOEMスコアは正比例の関係を示した(r = 0.791; p < 0.001)。
結論:ADCTにより、アトピー性皮膚炎のコントロールの程度を判定し、治療戦略を立てることができた。