発達障害におけるロングリードシーケンスに基づくエピシグネチャー検出の臨床評価。
DOI:10.1186/s13073-024-01419-z
アブストラクト
背景: 発達障害(DD)のサブセットは、疾患特異的なゲノム全体のメチル化変化によって特徴づけられる。これらのエピシグネチャーは、根本的な発症メカニズムに関する情報を提供し、ゲノム変異の病原性の評価や臨床診断の確認に用いることができる。現在のところ、このようなエピシグネチャーの検出には、間接的なメチル化プロファイリング手法が必要である。我々は、ロングリード全ゲノムシーケンスによって、一塩基バリアントや構造バリアントだけでなく、エピシグネチャーの検出も可能になると考えた。
方法:エピシグネチャーに関連するDDが確認された、あるいは疑われる患者20人と対照40人を対象に、ゲノムワイドナノポアシークエンシングを実施した。ゲノムバリアントおよびメチロームコールの後、階層的クラスタリングと次元削減を用いて、マイクロアレイベースのエピシグネチャーとの適合性を決定した。その後、サポートベクターマシン(SVM)を用いて各疾患の検出を行った。
結果:ナノポアシーケンスに基づくメチロームパターンは、マイクロアレイに基づくエピシグネチャーと一致した。SVMに基づく分類器は、17/19人の(おそらく)病原性バリアントを持つ患者と対照群ではエピシグネチャーを同定しなかった。エピシグネチャーが同定されなかった残りの患者も、市販のマイクロアレイアッセイによってコントロールに分類された。さらに、われわれは、基礎となるすべての病原性一塩基変異および構造変異を同定し、ハプロタイプを意識した歪んだX不活性化評価が臨床的解釈を方向づけることを示した。
結論:この概念実証研究は、ナノポアシーケンスによりエピシグネチャー検出が可能であることを示している。さらに、ハプロタイプ化されたゲノム解析とエピゲノム解析を同時に行うことで、一塩基/構造バリアント、X不活性化、インプリンティングの同時検出が可能となり、多段階のシーケンシャルなプロセスが単一の診断アッセイに統合される。