不安から対処へ:10-12歳の子どもにおける気候変動とCOVID-19に対する心理的距離と対処スキルの理解。
DOI:10.1371/journal.pone.0317725
アブストラクト
世界中の子どもたちが、環境破局に対する慢性的な恐怖と定義される気候不安を経験している。COVID-19のパンデミックは、どちらも世界的な危機と考えられるため、認識されるリスクと私たちの集団的な反応を比較しようとした他の研究者に倣った。気候変動とCOVID-19の比較に対する子どもたちの感情的反応、心理的距離、対処戦略を、アイルランド共和国全土の231人の小学生を対象とした混合法の縦断的研究を用いて比較する。パンデミック前とロックダウン後のデータを収集し、リッカート尺度とスケッチを用いた調査によって子どもたちの感情を測定した。スケッチは、感情表現を評価する方法として認知されつつあるが、言語能力が限られている場合には特に有効である。その結果、気候変動はCOVID-19よりも心理的に遠いものであったため、子どもたちが気候変動不安に対処するために、感情、意味、問題、関係に焦点を当てた対処戦略を効果的に用いることがより困難であったことが示唆された。本研究の1つの重要な結論は、大人が気候変動に対す る行動を起こす気にさせるために用いられるメッ セージや戦略が、幼い子どもたちの気候変動への 不安を増大させる可能性があるということである。また、人間関係重視の対処方略は、COVID-19の流行時には有望な対処方略であったにもかかわらず、子どもたちが気候不安に対処するのに十分に活用されていない。従って、肯定的な社会的支援と集団行動を作り出すことは、幼児が気候不安に対処するのに役立つ可能性がある。