スペインにおけるCOVID-19パンデミックの小児頭蓋内膿胸発生率への影響。
DOI:10.1007/s00381-025-06763-y
アブストラクト
はじめに:副鼻腔炎や耳炎による頭蓋内感染症は、まれではあるが急速に進行し、重大な罹患率をもたらす可能性がある。主に乳幼児や年長児が罹患するこれらの感染症は、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)の大流行後に発生率が増加したと考えられている。
目的:本研究の目的は、小児集団における副鼻腔炎または耳炎に続発する頭蓋内感染症の臨床的および疫学的特徴を記述し、パンデミック後の発生率と臨床像の変化を評価することである。具体的な目的としては、脳神経外科的管理の実践、耳鼻咽喉科と脳神経外科の協力の役割、てんかん発作の発生率、関連静脈血栓症の管理などを分析することである。
資料と方法:2018年1月から2022年12月までのデータを含め、イベリア半島全域の病院において後方視的多施設共同研究を実施した。データはロックダウン前(2018年1月~2020年3月)とロックダウン後(2020年3月~2022年12月)に分けて解析した。
結果:小児60例(ポストパンデミック38例、プレパンデミック22例)を対象とした。平均年齢は9.8歳で、男性優位(61.67%)であった。副鼻腔炎が最も多く(86%)、前頭部が最も多い感染部位であった(75%)。神経症状はパンデミック後に多くみられた(55.26%対23.68%)。主病原菌はS. intermedius(29.6%)であった。ほとんどの患者は脳外科的治療を必要とし(81.7%)、耳鼻咽喉科と脳外科の併用手術を受けた患者も多かった(52.9%)。抗生物質の平均投与期間は6.6週間であった。合併症は静脈洞血栓症(20%)、痙攣(39.2%)などであった。死亡率は3.3%であった。
結論:パンデミック後に患者数が増加したと考えられていたが、われわれの研究では監禁後に発症率は正常化し、監禁中の診断は減少した。抗生物質の投与期間は6週間で、手術をしていない患者では8週間まで延長可能である。副鼻腔手術と抗生物質の併用で開頭手術を回避できる症例もあれば、併用手術の方が再手術率が低い症例もある。抗凝固療法は個々の症例に合わせ、再疎通時には中止すべきである。抗てんかん薬の予防的使用についてはまだ議論の余地があり、特定の危険因子を有する患者に合わせるべきである。初期の発作や出血性病変のある患者には抗てんかん薬(AED)の長期投与が必要かもしれないが、急性期を過ぎれば徐々にAEDを漸減していく患者もいる。
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