アイルランドにおける重症急性呼吸器感染症サーベイランスシステムの評価。
DOI:10.1186/s12889-025-21645-3
アブストラクト
背景:アイルランドの重症急性呼吸器感染症(SARI)サーベイランスプログラムは、2023年に開始されるSARIセンチネル病院ネットワーク構築のため、現在の単一病院サイトから拡大される。本評価の目的は、サーベイランスシステムの主要な属性のパフォーマンスを評価し、サーベイランスシステムの改善と拡張の指針とすることである。
方法:2021年9月から2022年11月にかけて、欧州疾病予防管理センター(ECDC)のガイダンスを枠組みとして、量的・質的混合評価を実施した。SARIサーベイランスデータを分析し、完全性と適時性を評価した。半構造化フォーカスグループディスカッション、キーインフォーマントインタビュー、オンラインステークホルダーアンケートにより、有用性、簡便性、柔軟性、受容性を評価した。質的データは主題分析を用いて分析した。
結果:年齢と転帰を含む主要変数の完全性は100%であった(n=747)。COVID-19の接種状況は89%で記入されていたが、民族データの記入率はわずか0.6%であった。入院からデータ入力開始までの時間の中央値は1日(IQR 1-3)であった。全ゲノム配列決定(WGS)の結果を受け取るまでの期間は40日(IQR 30-61)であった。質的評価で確認されたテーマは、SARIサーベイランスの複雑さ、主要な個人と熟練したスタッフへの依存であった。改善すべき点として提案されたのは、プロセスの自動化や、特に流行期やパンデミック急増期における適時性と受容性を改善するためのリソースの追加などであった。
結論:SARIサーベイランスシステムは、完全でタイムリーなデータを報告している。しかし、WGSデータの適時性の改善、ワクチン接種状況や民族などの公平性層別化因子の記録により、データの質は強化されるであろう。拡大するための優先課題としては、信頼性の高いSARIサーベイランスを常時可能にするためのプロセスの自動化と適切な資源配分が挙げられる。