22q11.2微小欠失症候群患者におけるワクチン免疫。
DOI:10.1111/pai.70043
アブストラクト
背景:22q11.2微小欠失症候群(MDS)患者は、T細胞の成熟と免疫応答に重要な役割を果たす胸腺の発達異常によって特徴づけられる免疫学的欠損を示す。その結果、これらの患者は、ワクチン接種に対する反応が低下するなど、適応免疫に障害を有する可能性がある。
方法:本研究は前向き観察研究である。2022年2月から2023年4月にかけてジュネーブで追跡調査された1~25歳のMDS患者を対象に、ワクチンの血清学的検査(破傷風、ジフテリア、5歳未満のインフルエンザ菌b型、麻疹、水痘、A型肝炎、B型肝炎、SARS-CoV-2)と免疫パラメータを評価した。
結果:41名のMDS患者が組み入れられた。年齢中央値は13歳であった。ほとんどの患者は10年前まで耳炎や気管支炎を繰り返し、過去に軽度のCOVID-19を発症していた。免疫学的検査では、大半の患者で免疫グロブリン値とリンパ球数が正常であった。ほとんどの患者は破傷風、ジフテリア、インフルエンザ菌b型、麻疹の予防接種を受けていたが、B型肝炎とSARS-CoV-2の予防接種を受けていたのは半数、A型肝炎の予防接種を受けていたのは4分の1であった。ほとんどの患者が破傷風、ジフテリア、Hibに対する血清防御を受けていたが、かなりの数の患者が水痘、麻疹、B型肝炎、肺炎球菌に対する血清防御を受けていなかった。
結論:この研究は、ワクチン接種の有無にかかわらず、麻疹、B型肝炎、水痘、肺炎球菌の抗体価を定期的に評価し、ワクチン血清学的検査に従って再接種を行うことで、ワクチン免疫を高めることができることを示唆している。