イタリア北部ロンバルディア州におけるCOVID-19パンデミック時の1型糖尿病発症率は、COVID-19ワクチン接種の影響を受けなかった。
DOI:10.1371/journal.pone.0316340
アブストラクト
目的:ロンバルディア州における0~17歳の1型糖尿病(T1D)罹患率(2020~2023年)とCOVID-19ワクチン接種率の推移を明らかにする。
方法:2020~2023年にT1Dと診断された0~17歳の小児および青年に関するデータを、ロンバルディア州(イタリア)の医療システムの公的コンピュータ登録から抽出した。年間のT1D発症率を算出した後、ワクチン接種が可能になる前の2020年の発症率をそれ以降の年と比較した。最初にワクチン接種を受ける12~17歳については別の解析を行った。
結果:1,273人のT1D発症が記録された。T1Dの分布は、性別(p-trend = 0.338)、平均年齢(9歳、p = 0.537)、年齢分布(p-trend = 0.563)による有意な年次変動はみられなかった。T1D罹患率[95%CI/100.000]は、2020年[18.94/100.000(CI 16.88-21.18)]と2021年[21.82/100.000(CI 18.90-23.44)]、2022年[20.77/100.000(CI 18.59-23.13)]、2023年[19.68/100.000(CI 16.61-20.94)]を比較しても有意な変化はなかった。COVID-19ワクチン接種が可能であった2021~2023年の12~17歳では、2020年と比較して発症率に差は認められなかった(p-wald>0.05)。COVID-19ワクチン接種率は、同年齢の一般集団と比較して糖尿病発症児で低かった(38 vs 42%)。
結論:小児のT1D発症率はCOVID-19パンデミック期間中も、ワクチン接種率にかかわらず安定していた。