III型ムコ多糖症患者の評価:診断およびフォローアップアプローチに関するスコープレビュー。
DOI:10.1111/jar.70024
アブストラクト
背景:ムコ多糖症III型(MPS III)は全身性の合併症を伴うまれなライソゾーム貯蔵病である。本スクープレビューでは、MPS IIIの診断とモニタリングの方法に関するエビデンスをまとめることを目的とした。
方法:2017年から2022年までに発表された英語およびスペイン語の文献について、10のデータベースを検索した。実験的研究、準実験的研究、観察研究、レビュー、ガイドラインなど、MPS IIIの診断・モニタリング方法を報告したヒトベースの研究に焦点を当てた。スクリーニングとデータ抽出はPRISMA-ScRガイドラインに従った。解析には記述統計と質的統合を用いた。
結果:対象論文は35報であった。ほとんどの研究はヨーロッパおよび中央アジアで実施され(17/35、48.6%)、症例報告であった(19/37、51.4%)。臨床症状は30報で報告され、知的障害(19/30、63.3%)、運動失調(17/30、56.6%)、行動上の問題(16/30、53.3%)など、主に神経系(25/30、83.3%)に関するものであった。診断方法(23/35、65.7%)は、遺伝子検査と尿中GAG測定を含む生化学的検査であった。画像検査では脳MRIが最も多く(11/20、55.0%)、電気検査(10/35、28.5%)では心電図(5/10、50%)、脳波、聴力検査(各3/10、30%)が行われた。尺度や質問票(8/35、22.8%)も報告されており、Bayley Scale of Infant Developmentが最も多く記載されている(4/8、50%)。
結論:本研究は、MPS IIIの診断法とモニタリング法を包括的に概観するものである。本研究で得られた知見は、臨床医がこの稀な疾患に対してエビデンスに基づいたケアを提供する際の指針となるであろう。
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