ムコ多糖症(MPS)と診断された小児患者における心機能の評価と、収縮機能を評価するための環状面収縮期外収縮(APSE)の使用。
DOI:10.1016/j.ymgme.2025.109069
アブストラクト
目的:ムコ多糖症(MPS)では、グリコサミノグリカン(GAG)が心血管系に蓄積し、臨床症状を引き起こす。本研究の目的は、MPS患者の心機能を解析し、その特徴を明らかにすることである。
方法:全患者に経胸壁心エコー検査を行った。左室壁の厚さと直径を測定した。解析はMPS患者を酵素補充療法(ERT)を受けている群と受けていない群、ERTを5年以下受けている群と5年以上受けている群に分けて行った。左室壁の厚さ、心室機能パラメータ、心室組織ドップラー速度、弁の厚さ、機能を評価した。心室収縮機能については、環状面収縮期逸脱(APSE)とAPSE-zスコアを評価した。
結果:左室壁の厚さと質量はMPS群で有意に高かった。EF値は両群で同程度であったが、MAPSEとMAPSE zスコアはMPS患者で有意に低かった。左室拡張期充満速度と組織速度はMPS群で有意に低かった。心室機能とリモデリングはERTを受けているMPS患者で同様であったが、弁病変はERTを受けているMPS患者で有意に高かった。
結論:MPS患者は初期段階で収縮期と拡張期の両方の機能障害を有する。環状面収縮期逸脱(APSE)は収縮機能障害を示し、適用が容易であるため、MPS患者の心室収縮機能をルーチンに評価することができる。MPS患者では左室径と左室質量指数が増加する。ERTはMPS患者の心機能に良い影響を与えるが、弁膜症には影響を与えないようである。
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