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ロタウイルス誘発胃腸炎の期間と頻度を減少させるN-アセチルシステインの有効性の評価:予備的無作為化プラセボ対照二重盲検臨床試験。

DOI:10.1186/s12887-025-05534-7

アブストラクト

背景:世界的に胃腸炎は小児死亡の主な原因であり、毎年5歳未満の300万人の命を奪っている。ロタウイルスは、6ヵ月から2歳までの小児のウイルス性下痢の主な要因であり、水様性の下痢や嘔吐などの重篤な症状を呈する。支持療法やワクチンにより死亡率は減少しているが、N-アセチルシステイン(NAC)のような有望な代替薬は、実験室研究において潜在的な効果を示しており、ロタウイルス感染症の持続期間と糞便中への抗原排泄を減少させることにより、ロタウイルス感染症を管理する補助的な戦略の可能性を示している。

方法:この二重盲検臨床試験において、迅速診断ストリップを用いてロタウイルスによる胃腸炎であることが確認された患者71人を無作為に2群に割り付けた。一方の群にはNACが60mg/kg/日処方され、もう一方の群にはプラセボが投与された。胃腸炎が改善するまで患者の経過を毎日観察し、下痢の期間と排便の頻度に関する詳細を参加者ごとに記録した。

結果:NAC群とプラセボ群の平均下痢期間はそれぞれ2日と3日で、p=0.121であった。下痢期間中の排便回数は、NAC群では28.1回±21.6回であったのに対し、プラセボ群では35.3回±33.1回であり、p値は0.409であった。

結論:胃腸炎における排便期間の短縮と排便回数の減少にNACの効果が認められたが、これらの結果は統計学的有意差には達しなかった。したがって、本研究のデータから、NACはロタウイルスによる胃腸炎に関連した下痢の期間および便通の頻度を効果的に減少させない可能性が示唆された。

試験登録: IRCT20181208041882N13, 14-10-2023 ( https://irct.behdasht.gov.ir/trial/68259 ).

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