ムコ多糖症患者に対する同種造血幹細胞移植:単一施設での経験とQOLの評価。
DOI:10.1186/s13052-025-01919-7
アブストラクト
背景:同種造血幹細胞移植(HSCT)は、ムコ多糖症(MPS)患者に対する有効な治療選択肢であることが証明されている。我々は、小児MPS患者における造血幹細胞移植の有効性とQOLの改善について調査している。
方法:中国の単一施設における46例のMPS症例からの移植データをレトロスペクティブに解析した。
結果:46例のコホートには、MPS Iが9例、MPS IIが16例、MPS IVAが15例、MPS VIが6例含まれていた。診断時の年齢中央値は2.59歳であった。移植時の年齢中央値は3.80歳であった。追跡期間中央値は3.1年(範囲、0.8〜8.1年)で、43例が生存していた。グレードIIからIVのaGVHDの発生率は17.4%で、グレードIIIおよびIVのaGVHDの発生率は4.3%であった。中等度から重度のcGVHDの発生率は6.5%であった。GAGの尿中排泄量は減少し、酵素活性値は正常値に達した。造血幹細胞移植後、多発性骨異形成、上気道閉塞、および再発性中耳炎は有意に改善し、視力、角膜混濁、心血管疾患、肝脾腫、および水頭症は改善または安定し、神経症状はほとんどの患者で改善または安定したが、他の患者では進行した。一方、MPS IH、MPS IVA、MPS VIの患者は造血幹細胞移植後も成長不良であった。日常生活動作(ADL)スコアはほとんどのMPS患者で改善した。重篤な表現型の患者のADLスコアは、健常対照者や減弱した表現型の患者よりも低かった。
結論:造血幹細胞移植はMPSの良好な治療選択肢であり、患者のQOLを改善する。造血幹細胞移植後のADLは、表現型が弱いMPS患者の方が良好であった。
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